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BLOG「医師である私ががんになったら」
もし"がん"になってしまった場合、当然医師に診ていただくことになりますが、医師によって治療法が異なる場合があります。最近はセカンドオピニオンも定着してきましたが、なかにはいまだに患者さんから「セカンドオピニオンを受けるなら他の病院に行ってくれ」などと主治医に言われたという話も聞きます。
今回は、免疫療法、遺伝子治療、血管内治療、複合ハーブ療法、ホルミシス療法、高濃度ビタミンC点滴療法、マイクロウエーブ温熱療法、コロイドヨード治療、水素療法、ミトコンドリア活性化治療などの各種療法を取り入れられ、それぞれの治療法を活かしたがん治療を「統合腫瘍治療」と呼んで積極的な医療を展開されている、「よろずクリニック」の萬憲彰院長にお話しを伺いました。
取材・構成 吉田 繁光 本誌発行人
取材協力 萬 憲彰 よろずクリニック 院長
母をがんで失くした経験から、私の仕事は標準治療とターミナルケアの「はざまを埋める医療」であると確信した
日々を前向きに過ごし、よく笑い、オンとオフを切り替えて人生を楽しむのが私のがん予防
――がんは早期発見が大事だと言われますが、かからないことにこしたことはありません。先生はがん予防に何かされていますか。
萬
がん予防に関してはまだ40代ということもあり積極的には行っていませんが、日々を前向きに過ごし、よく笑い、オンとオフを切り替えて人生を楽しむようにしています。
また
30代半ばで禁煙し、飲酒はもともと飲めない体質なのでしていません。食事は時にジャンクフードも食べますが、普段は分子栄養学を学んでいる妻に任せています。
あとは抗酸化によい水素吸引(ヘリックスET100)を時々と、アスタキサンチンやコエンザイムQ10のサプリを飲み、ホットタブ(重炭酸入浴)のお風呂にゆっくり浸っています。こうやって書くと意外にやっていますね(笑)。
――それでは、早期発見のための検診はどうされていますか。
萬
私は消化器内科の開業医ですので、通常診療で常に市町村の検診や人間ドックを扱っています。しかし、それらが最も優れた早期発見法かというと、費用対効果を重視している通常の検診や保険診療だけではカバーできないことも往々にして存在します。
予防医学はそういった面で通常診療では動脈硬化性疾患には対策がありますが、がんに関してはあまりないのが現状です。私は、昨年(2018年)上下部内視鏡(胃と大腸内視鏡)を受けました。毎日患者さんには行っているのですが、恥ずかしながら私自身は初めて受けた検査でした。上部内視鏡では、慢性胃炎とヘリコバクターピロリ感染症が陽性でしたので除菌をしました。慢性胃炎は萎縮が進むと発がんのリスクが増すので、早めの除菌が良いと考えています。
大腸内視鏡検査も大腸がんはポリープから発生しますので、早期に発見してある程度の大きさのものは切除しておくと大腸がんになる確率はきわめて低くなります。
もう少し年齢が進んだ際には、肺がんのチェックのために胸部単純CTを撮る予定です。これは比較的どこでも検査可能ですし、自費でも数千円で受けられます。胸部X線での検査も行われていますが、見落としも多いのでCTを使ったほうが良いでしょう。
これらの検査は通常診療ですから、誰でもどこの医療施設でも受けることが可能です。がんの死因のトップ3は肺がん、胃がん、大腸がんですので、これらの検査で確率的には大きくカバーできるでしょう。
このほかのがんに関しては年齢に応じて追加しますが、最近はリキッドバイオプシーが発達していますので、尿や血中のがん関連物質から発がんリスク、発がん部位を特定できます。採血などで手軽にでき精度も信頼できるので、年に1回くらいしておくと安心ですが価格は高いのがやや難点です。私は、マイテックのプロテオ®検査を毎年受けています。
治療のベースに必ず入れたいのは水素吸入療法と重炭酸入浴法
―― 残念ながらがんになってしまった場合はどうされますか。治療法をお聞かせください。
萬
がんになったことがわかった場合、まず一番重要なのはステージです。ステージが0~1の場合は、真っ先に標準治療を受けます。ステージ初期は素直に標準治療を受けることが最も生存率が上がると証明されていますので、手術を選択し術後の組織は再発抑制のために筑波大学ベンチャーのセルメディシン社で自家がんワクチンを作製し、自分の免疫にがん抗原を認識させてCTL(細胞障害性T細胞)を誘導します。
ステージが3~4の場合も、原発巣だけでも手術してもらい自家がんワクチンを作製し培養型免疫療法と高濃度ビタミンC療法や複合ハーブ療法、コロイドヨード療法、食事療法などを組み合わせ、可能ならホルミシス療法や還元陶板浴もやりたいと思います。
今後に適応されるであろう、光免疫療法(小林久隆先生開発)に最も期待しています。標準治療は、がんの部位、転移の部位によって抗がん剤、分子標的薬、放射線治療が有効かどうか主治医と相談しながら検討します。がんの栄養血管が豊富な場合は、IGTクリニックの堀先生へ頼んで血管内治療をしていただきたいと思います。抗がん剤や放射線を使う場合は、積極的にがん抑制遺伝子のウイルスベクターを用います。あと、温熱療法(マイクロウェーブ、ハイパーサーミア)は基本ですので、必ず受けます。
これはすでに毎日しているのですが、治療のベースに必ず入れたいのは水素吸入療法と重炭酸入浴法です。いずれも抗がん剤の副作用を軽減させたり、免疫賦活作用が期待できたりします。
結局は、私自身も患者さんにいつも提案している統合腫瘍治療に準じて治療方針を決めるということです。
代替医療はあらゆる可能性を見出し、常に希望を失うことなく過ごすことができる
――今お話しになったことで、仮にがんの発生時期が今より若かった場合と、年を重ねてからの場合で違いがあればお話しください。
萬
現在はまだ40代で、自宅のローンやクリニックの借金もたくさんありますし、妻や子供たちのために死ぬわけにはいきませんので全力で治療します。
しかし、子供たちが自立して社会的な役目も一段落した年齢の場合は、無理な手術や抗がん剤は選択しません。身体に負担をかけない代替医療だけで、やれるだけやってみて天寿を全うします。
――考えたくないことですが、万が一がんが進行して、医師より「もう治療法はない」と言われたらどのようになされますか。
萬
進行がんで標準治療での治療法があるかないかは、実はあまり気になりません。そもそもそれでがんを克服できるという可能性はきわめて低いからこそ、代替医療を扱っているのです。
私事ですが、昨年(2018年)母が空腸がんの肝転移・腹膜播種の診断を受けました。小腸はそもそもがんができにくい臓器ですが、10万人に1人の難治性がんとなってしまいました。総合病院より治療法はないと宣告され、家族会議の末に私が治療を一任されました。そこで前述したさまざまな治療を試し、一時的に有効でしたが病勢を食い止めることができず先日他界しました。
その際に強く思ったことがあります。通常は、標準治療がないと宣告された場合に患者さんは、緩和ケアを受けつつ死を待つのみですが、代替医療はあらゆる可能性を見出し、常に希望を失うことなく過ごすことができます。希望を持つということは自然治癒力、自己免疫力を高め、がん抑制遺伝子の働きも活発になるはずです。余命宣告を受けただけの精神状態より、はるかに良い状態で余生を過ごすことができることは容易に想像がつきます。もちろん代替医療を受けていて、緩解していく患者さんも少なくありません。
いろいろな悩み、迷いはあったのですが、母のことから自分の仕事は標準治療とターミナルケアの「はざまを埋める医療」であり、なくてはならないものだと思いました。