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BLOGがん細胞は「指名手配」しないと攻撃できない?がん免疫サイクルの全貌と再発予防の鍵とは?
こんにちは。よろずクリニックの広報担当です。
先日、萬院長が新しいYouTube動画「がん細胞は「指名手配」しないと攻撃できない?がん免疫サイクルの全貌と再発予防の鍵とは?」を公開しましたので、今回はその内容をご紹介します。

「がん」と聞くと、ご自身やご家族のために、様々な情報を集めている方も多いのではないでしょうか。特に治療後の「再発」については、尽きない不安があるかと思います。
今回の動画で萬院長が解説しているのは、そんな再発予防の鍵となるかもしれない、私たち自身の体に備わった**「がん免疫サイクル」**という仕組みについてです。
動画の中では、
- なぜ、私たちの免疫はがん細胞をすぐに見つけて攻撃できないのか?
- がん細胞を”指名手配”するとは、一体どういうことなのか?
- 手術で取り除いたがんが、再発を防ぐ”ワクチン”になり得るという、注目されている考え方
など、がん治療の最前線について、院長が分かりやすく解説しています。
この記事では、その動画の中から特に重要なポイントをピックアップしてお伝えしていきますね。
なぜ?私たちの免疫はがん細胞を“見逃して”しまうのか
頼れるけれど万能じゃない「自然免疫」
私たちの体には、ウイルスや細菌などの異物を見つけるとすぐに攻撃してくれる「自然免疫」という仕組みが備わっています。動画の中で院長は、この自然免疫の代表である「NK(ナチュラルキラー)細胞」を、“気まぐれ”だけれど見つけたらすぐにやっつけてくれる存在として紹介しています。
しかし、この自然免疫だけでは、体内で巧妙に隠れているがん細胞をすべて見つけ出して攻撃するのは難しいのが現実です。
がん細胞を攻撃する主役は「T細胞」
そこで、がんとの戦いで主役となるのが、「獲得免疫」のリンパ球の一種である「T細胞」です。
T細胞は非常に強力な攻撃部隊なのですが、一つだけ大きな弱点があります。それは、「指名手配」されていない敵は攻撃できない、ということ。
つまり、がん細胞が「こいつは敵だ!」とT細胞にしっかり認識されない限り、T細胞は素通りしてしまうのです。これが、私たちの免疫ががん細胞を見逃してしまう大きな理由の一つだと、院長は解説しています。
がん細胞を“指名手配”する「がん免疫サイクル」の仕組み

では、どうすればT細胞にがん細胞を「指名手配犯」として認識させることができるのでしょうか。その鍵を握るのが「がん免疫サイクル」です。動画では、このサイクルが以下の様なステップで回ることが説明されています。
① 攻撃のきっかけは、がん細胞の「顔」が知れること
まず何らかのきっかけ(例えば放射線治療など)でがん細胞が壊れると、中から「がん抗原」という、いわばがん細胞の「顔」の情報が飛び出します。これが指名手配写真の元になります。
②「こういう敵がいる」と警察学校(リンパ節)に報告
次に、その「顔」の情報を「樹状細胞」という免疫細胞がキャッチします。院長はこれを「樹状細胞先生」と呼んでいますが、この樹状細胞がリンパ節、つまり「警察学校」へ向かい、「こんな顔の犯人がいるぞ!」と報告するのです。
③ 指名手配情報をもとに、特殊部隊(T細胞)が出動!
警察学校(リンパ節)で指名手配情報を受け取ったT細胞は、ようやく敵の顔を認識し、「細胞障害性T細胞」という強力な特殊部隊となって体中のがん細胞を探しに出動します。そして、指名手配写真と同じ顔のがん細胞を見つけ次第、攻撃を仕掛けていくのです。
このサイクルがうまく回り始めると、自分の免疫だけでがん細胞を攻撃できるようになり、さらにその情報を記憶することで、再発予防にも繋がる可能性があるとされています。
再発予防の切り札?手術で取ったがんが“ワクチン”になる
この「がん免疫サイクル」を人為的に動かす考え方として、院長は動画の後半で「自家癌ワクチン療法」について触れています。
自分の“がん”を教材にする「自家癌ワクチン療法」とは
これは、手術で取り除いた自分自身のがん組織を使って、専用のワクチンを作るという治療法です。
自分のがん細胞には、最も効果的な「顔」の情報(がん抗原)が大量に含まれています。これをワクチンとして体内に戻し、樹状細胞に「これが敵の顔だよ」と直接教え込むことで、免疫サイクルを強制的にスタートさせ、T細胞にがんを攻撃させることを目指します。
ワクチンの効果はセルフケアで大きく変わる?
ただし、院長は「ワクチンを打てば終わり、ではない」と強調します。
ワクチンの効果を最大限に引き出すためには、免疫が働きやすい体内環境を自分で整える「セルフケア」が非常に重要です。動画の中では、体をアルカリ性に保つ食事などを心がけることが、治療をサポートする上で大切だと述べられています。
「治してもらおう」という受け身の姿勢ではなく、「二人三脚で治療に取り組む」という意識が、結果を大きく左右するのかもしれません。
まとめ
今回は、萬院長のYouTube動画を元に、「がん免疫サイクル」と「自家癌ワクチン」についてご紹介しました。
- 私たちの免疫には、がん細胞を「指名手配」しないと攻撃できない性質がある。
- その「指名手配」の仕組みが「がん免疫サイクル」。
- そのサイクルを人為的に動かす「自家癌ワクチン」という考え方がある。
- どんな治療法でも、最終的には自身の免疫が働きやすい環境を整えるセルフケアが重要。
がん治療は日々進歩していますが、自分自身の体に備わった力を最大限に引き出す、という視点は、これからの治療を考える上で大きなヒントになりそうですね。