癌性腹膜炎(癌性腹水)や頭頸部癌への治療 癌性腹膜炎(癌性腹水)や頭頸部癌への治療 当院では難治性の癌性腹水に対する治療戦略としてCART+遺伝子治療薬腹腔内投与という方法を推奨しています。 まずCARTとは、Cell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapy: 腹水濾過濃縮再静注法の略で、肝硬変やがんなどによって貯まった腹水(又は胸水)を濾過濃縮(ろかのうしゅく)して、アルブミンなどの有用なタンパク成分を回収する治療法です。 効率よくアルブミンを再投与するため腹水の再貯留を遅らせる効果も期待できます。(血中アルブミンが低下すると浮腫や腹水の増悪につながります。) 遺伝子治療薬腹腔内投与とは RT181など遺伝子治療薬を用いてがんに特異的に過剰発現しがんの性質を維持しているCDC6タンパクを当治療薬で消去することによりがんの成長を停止させてがん細胞のアポトーシス(自殺)・老化を誘導させる治療法です。簡単に申しますと、がん抑制遺伝子が壊れて増殖しているがん細胞の抑制遺伝子を活性化して癌自身を縮小、退縮させることにより、腹水の再貯留を食い止める治療法です。この遺伝子治療は局所療法が向いており、頭頸部の癌に直接注射したり、胃、食道、大腸などの内視鏡にて局注可能な癌にも有効です。 当院では癌性腹膜炎の腹水へCART後に投与することにより腹水穿刺だけでは1週間に3~4L貯留していた腹水を一回目で2週間で1Lまで消失させ、二回目で貯留なしまで改善できている方もおられます。 治療方法 料金 CART(腹水濾過濃縮再静注法)3割負担の場合ですと35,880円となります。(初・再診料別)★保険適用:種々の治療では困難な難治性腹水症(胸水症含む)の患者様が保険適用となります。 CARTの特長 ●QOL(Quality of Life)の向上1,全身・栄養状態の改善により、QOL (Quality of Life)が向上します。2,おなかの圧ぱくが軽減します。3,自覚的苦痛が軽減されます。 CARTに生じうる副作用 ●CARTによる主な副作用は発熱、悪寒(おかん)、血圧上昇、頭痛、嘔気(おうき)、戦慄(せんりつ)です。(※戦慄とは、高熱がでて、からだががたがたとふるえること)また、発生頻度は不明ですが、CARTを行うことにより以下の副作用が報告されています。●溶血(ようけつ)(※溶血とは、赤血球がこわれ、赤血球中に含まれるヘモグロビンが血液中に出ること)●血圧低下●嘔吐(おうと)●顔色不良●ほてり又は呼吸困難●ショック等の異常詳しくは、お気軽にクリニックまでご相談ください。丁寧にわかりやすくご説明させていただきます。