がん温熱療法ハイパーサーミアについて
「ハイパーサーミア(温熱療法)は保険適応で受けられるの?」「他のがん治療との違いは?効果は?」そう思う方もいるかもしれません。
よろず温熱療法クリニックでは、規定の回数内であれば、ハイパーサーミア治療を保険適応で受けられます。この治療法は、高周波を利用してがん細胞のある部位を局所的に加温し、がんの成長を抑えることが期待され、副作用が少ない点でも注目されています。
ただし、規定の回数を超えると自由診療となるため、費用について事前に確認しておくことが大切です。
この記事では、ハイパーサーミアの仕組みや具体的な効果、保険適応の条件、自由診療になるケース、よろず温熱療法クリニックでの治療の流れについて詳しく解説します。がん治療を検討している方や、治療法の選択肢を増やしたい方は、ぜひご覧ください。
ハイパーサーミア(温熱療法)とは?仕組みと特徴
ハイパーサーミア(温熱療法)は、がん細胞が熱に弱いという性質を利用したがん治療法の一つです。ここでは、その仕組みと特徴について詳しく解説します。
第4のがん治療法とは?
手術(外科療法)、放射線療法、薬物療法(化学療法)は、がんの3大治療法として広く知られています。ハイパーサーミアは、これらに次ぐ「第4のがん治療法」として注目されています。単独で用いられることもありますが、多くの場合、他の治療法と併用することで、その効果を高めることが期待されています。

ハイパーサーミアの特徴
ハイパーサーミアには、以下のような特徴があります。
体への負担が少ないがん治療法
ハイパーサーミアは、体を切開したり、放射線を照射したりする治療法と比較して、体への負担が少ないとされています。治療中や治療後に、強い痛みや吐き気などの副作用が出にくいのが特徴です。
温熱作用によりがん細胞へ影響を与える可能性
がん細胞は、正常な細胞に比べて熱に弱いという性質があります。ハイパーサーミアでは、がん細胞のある部位を42℃~43℃程度に加温することで、がん細胞にダメージを与え、死滅させたり、増殖を抑えたりすることが期待できます。

がんの部位を局所的に加温することで治療の選択肢が広がる
ハイパーサーミアは、がんの部位を局所的に加温する治療法です。そのため、手術が難しい部位のがんや、放射線治療が困難な部位のがんに対しても、治療の選択肢となり得ます。
医療保険適応
ハイパーサーミアは、一定の条件を満たせば、保険が適用されます。これにより、経済的な負担を軽減しながら治療を受けることができます。

ハイパーサーミア(温熱療法)の効果と副作用
ハイパーサーミアは、温熱作用によってがん細胞に影響を与えるだけでなく、体の免疫機能を活性化させる効果も期待できます。
ハイパーサーミアによる温熱作用の影響
ハイパーサーミアによる温熱作用は、がん細胞に対して以下のような影響を与えると考えられています。
体表近くの腫瘍では、縮小が期待される可能性
皮膚や皮下組織など、体の表面に近い場所にできた腫瘍に対しては、ハイパーサーミアによって腫瘍を直接加温することができます。これにより、腫瘍の縮小が期待されるとの報告があります。
深在性腫瘍(体の中の方にある腫瘍)では、薬物療法や放射線治療の補助として活用されることがある
体の奥深くにできた腫瘍に対しては、ハイパーサーミア単独での治療効果は限定的です。しかし、薬物療法や放射線治療と併用することで、これらの治療効果を高める補助的な役割を果たすことが期待されています。
免疫機能の活性化
ハイパーサーミアは、体の免疫機能を活性化させる効果も報告されています。具体的には、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)、インターフェロンγ、マクロファージなどの免疫細胞の働きを高めることが示唆されています。これらの免疫細胞は、がん細胞を攻撃する役割を担っており、ハイパーサーミアによって免疫機能が活性化することで、がん細胞の増殖を抑える効果が期待できます。
QOL(生活の質)の向上
ハイパーサーミアは、がんによる痛みや倦怠感などの症状を緩和し、QOL(生活の質)を向上させる効果も期待できます。痛みの緩和、食欲増進、体力回復などが報告されており、患者さんの日常生活をサポートする上で重要な役割を果たす可能性があります。
ハイパーサーミア(温熱療法)の原理と治療メカニズム
ハイパーサーミアの原理
ハイパーサーミアは、電磁波の一種である高周波(ラジオ波)を利用して、がん細胞のある部位を局所的に加温する治療法です。
患部を電極で挟み、8MHzの電波により体内の分子を振動させ、摩擦熱で加温する
具体的には、体の外から患部を電極で挟み、8MHz(メガヘルツ)の周波数の電波を流します。この電波によって、体内の分子が振動し、摩擦熱が発生します。この摩擦熱によって、がん細胞のある部位が42℃~43℃程度に加温され、がん細胞にダメージを与えるという仕組みです。

ハイパーサーミア(温熱療法)は保険適応?適用条件と費用の詳細
ハイパーサーミアは、一定の条件を満たせば保険適用で治療を受けることができます。
保険適応の条件とは?
ハイパーサーミアが保険適用となるためには、いくつかの条件があります。まず、がんの種類や進行度、過去の治療歴などが考慮されます。また、治療を行う医療機関が、厚生労働省の定める施設基準を満たしている必要があります。(よろず温熱療法クリニックでは基準適合済)
規定の回数・期間を超えると自由診療になる理由
ハイパーサーミアは、保険診療の場合、治療回数や期間に制限があります。これは、治療効果や安全性を考慮し、適切な医療を提供するための措置です。規定の回数や期間を超えて治療を希望する場合は、自由診療となります。
具体的な治療費(保険適応・自由診療)
ハイパーサーミアの治療費は、加温する部位や範囲によって異なります。ハイパーサーミアは、従来のがん治療のような副作用がほとんどないので、何度でも治療を受けることができます。(※保険適用は2ヶ月8回までです)
深部加温(保険適応):9000点(3割負担で27,000円)
体の深部にある腫瘍を治療する場合の費用です。1点10円で計算されるため、9000点は90,000円となります。3割負担の場合、患者さんの自己負担額は27,000円となります。
浅部加温(保険適応):6000点(3割負担で18,000円)
体の表面に近い腫瘍を治療する場合の費用です。6000点は60,000円となり、3割負担の場合、患者さんの自己負担額は18,000円となります。
自由診療
保険適用の回数(2ヶ月8回)を超えて治療を受ける場合や、保険適用外の治療を受ける場合は自費診療となります。費用については、治療を受けられる医療機関に直接お問い合わせください。
※治療中断による返金は出来ませんのでご了承お願いします。
また、がん保険で給付金の対象になります。
(給付金の無いがん保険もあります。加入している保険会社にご確認ください。)
※診察料・検査料等は別途かかります。ご了承ください。
適応となるがん
ハイパーサーミアは、さまざまながんに適応となります。
口から体全体のすべてのがん(脳・眼球・血液疾患を除く)
具体的には、口から肛門までの消化管、肺、肝臓、膵臓、腎臓、膀胱、前立腺、子宮、卵巣、乳房など、ほとんどの固形がんに適応となります。ただし、脳腫瘍、眼球内の腫瘍、白血病などの血液疾患には適応となりません。
初期・末期など、がんの段階や組織型・種類を問わず適応可能
ハイパーサーミアは、がんの進行度(ステージ)や組織型(がんの種類)に関わらず、適応となる場合があります。早期のがんだけでなく、進行したがんや末期のがんに対しても、症状緩和やQOL向上の目的で用いられることがあります。

ハイパーサーミア(温熱療法)の副作用
ハイパーサーミアは比較的副作用が少ない治療法ですが、以下のような副作用が起こる可能性があります。
施術中の違和感や熱感(加温による軽度の不快感)
加温中に、治療部位に熱感やピリピリとした違和感を感じることがあります。
治療後の皮膚の赤みや軽い炎症
加温した部位の皮膚が赤くなったり、軽い炎症を起こしたりすることがあります。
まれに起こる一時的な倦怠感
治療後に、一時的な倦怠感を感じることがあります。
金属インプラントや刺青がある場合の注意点
体内に金属製のインプラント(人工関節、心臓ペースメーカーなど)や刺青がある場合は、事前に医師に相談する必要があります。
よろず温熱療法クリニックの特徴と機器「アスクーフ8」
よろず温熱療法クリニックは、ハイパーサーミア治療を強みとしているクリニックです。
よろず温熱療法クリニックの強み
温熱治療機器「アスクーフ8」
よろず温熱療法クリニックでは、温熱治療機器「アスクーフ8」を導入し、温熱療法を提供しています。
身体にやさしいがん治療
ハイパーサーミアは、体への負担が少ないがん治療法です。よろず温熱療法クリニックでは、患者さんの状態に合わせて、最適な治療プランを提案します。
科学的根拠をもとにした治療を提供
よろず温熱療法クリニックでは、科学的な根拠(エビデンス)に基づいた治療を提供しています。

「アスクーフ8」の特徴
熱さを軽減する間欠照射モードを搭載
「アスクーフ8」は、間欠照射モードを搭載しており、治療中の熱感を軽減することができます。

アップダウン式の施術台があり、患者の上り下りが楽
施術台が上下に動くため、患者さんは楽な姿勢で治療を受けることができます。

他のがん治療との違いと併用療法
ハイパーサーミアは、単独で用いられることもありますが、他の治療法と併用することで、より高い効果が期待できる場合があります。
ハイパーサーミアと主要ながん治療の比較表
治療法 | 治療の仕組み | 適応がん種 | 副作用・リスク | 治療期間・回数 | 併用可能性 |
---|---|---|---|---|---|
ハイパーサーミア(温熱療法) | 約40~43℃の熱でがん細胞を弱らせ、他治療の効果を高める | 固形がん(乳がん、肝臓がん、前立腺がんなど) | 皮膚の赤みや熱感、まれに倦怠感 | 週1〜2回、4〜6週間程度 | 放射線・化学療法と併用することで効果が高まる。 |
化学療法 | 抗がん剤でがん細胞の分裂を阻害 | 幅広いがん(肺がん、乳がん、白血病など) | 吐き気、脱毛、免疫低下 | 2〜3週間ごとに実施 | 手術・放射線・免疫療法と併用されることが多い。 |
放射線療法 | 高エネルギー放射線でがん細胞を死滅させる | 固形がん(頭頸部がん、前立腺がんなど) | 照射部位の皮膚炎、倦怠感 | 週5回、数週間継続 | 手術・化学療法と併用可能 |
手術 | 腫瘍を外科的に切除 | 早期の固形がん | 出血、感染、機能低下のリスク | 1回の手術、入院期間あり | 術前・術後に化学療法や放射線療法を併用可能 |
免疫療法 | 免疫を活性化し、がんを攻撃 | 一部の固形がん・血液がん(肺がん、メラノーマなど) | 自己免疫反応(炎症、疲労、下痢など) | 2~3週間ごとに点滴投与を継続 | 化学療法・放射線療法と併用されることが多い。 |
※表が見切れる場合は、横にスクロールできます。
ハイパーサーミアと抗がん剤治療の併用
高温になることで、薬剤の浸透率が向上するといわれている
ハイパーサーミアと抗がん剤治療を併用すると、がん細胞への薬剤の浸透率が高まり、抗がん剤の効果が増強されると考えられています。
ハイパーサーミアと放射線治療の併用
放射線が効果を示しにくいS期には、ハイパーサーミアが補助的な役割を果たす可能性
細胞周期の中で、放射線が効きにくい時期(S期)があります。ハイパーサーミアは、このS期にあるがん細胞に対しても効果を発揮する可能性があり、放射線治療の補助的な役割を果たすことが期待されています。
放射線治療の効果を高める可能性が示唆されている
ハイパーサーミアは、放射線治療の効果を高めることが示唆されています。複数の研究で、併用療法によって、腫瘍の縮小効果や生存率の向上が報告されています。
ハイパーサーミア(温熱療法)の治療の流れと注意点
治療前の準備と注意点
- 治療前後は水分を十分に補給しましょう。
- 身体に付けている取り外し可能な金属製の物は治療前に取り外してください。
- 眼鏡、時計、指輪、アクセサリー、金属含む貼付剤、カラーコンタクトレンズ等
- ※義歯は取らなくても結構です。
- 加温中まれに身体が触れることで通電することがあるため、医師・技師・看護師はゴム手袋をして治療にあたります。ご了承ください。
- 加温中は、点滴架台や治療ベッドの金属部分には触れないようにしてください。
- 以下に記載する項目に該当される方はスタッフに申し出てください。
- 妊娠中の方
- 心電図、ペースメーカー、植え込み型除細動器等を装着している方
- 加温域内に金属片 (ステント) 等を留置している方 (チタン製は問題がありません)
- 金属粉を含む刺青等をしている方
持ち物
- バスタオル2枚、小さめのタオル
- 着替え (汗をたくさんかくことがありますので、ご準備ください)
- ドリンク類 (治療中に飲むことができます)
【まとめ】ハイパーサーミア(温熱療法)はがん治療の選択肢になるのか?
ハイパーサーミアが向いている人・向いていない人
ハイパーサーミアは、
- 他の治療法との併用を考えている人
- 副作用の少ない治療法を希望する人
- 手術が難しい部位のがんを患っている人
- 放射線治療が困難な部位のがんを患っている人 に向いています。
一方で、
- ペースメーカーなどの金属を体内に埋め込んでいる人
- 妊娠中の人
- 重篤な合併症を持つ人
には向かない、または注意が必要です。必ず医師と相談して、ご自身の状況に合った治療法を選択しましょう。
今後のがん治療におけるハイパーサーミアの可能性
ハイパーサーミアは、今後のがん治療において、ますます重要な役割を果たす可能性があります。さらなる研究が進められ、より効果的で安全な治療法として確立されることが期待されています。
免責事項: この記事は、医療情報を提供するものであり、医学的なアドバイスや診断、治療に代わるものではありません。ご自身の健康状態に関する疑問や懸念がある場合は、必ず医師や専門家にご相談ください。
施設案内・お問合せ先
- 名称:よろず温熱療法クリニック
- 連絡先:📞 0857-32-5555
- 所在地 :689-0202 鳥取県鳥取市美萩野1-118-5
- 診療時間 :9:00~12:00 15:00~18:00
- 休診日:木曜日午後、土曜日午後、日曜日、祝日
- 予約方法:お電話にて📞 0857-32-5555