光がん免疫療法
今回の説明は、患者様にこの治療を良く理解して頂くために作成されたものです。
治療を受けるかどうかは患者様の意思によって決定されるものであり、
強制されるものではございません。
一度同意されてもいつでも取り消すことが出来ます。
説明を聞いて治療を受けない場合においても、決して不利益を受けることはございません。
十分な説明を受け、正確に理解した上で治療を受けるかどうか、ご検討下さい。
従来の放射線等のレーザー(X線、ガンマ線など)ではレーザーを当てた部分すべてにダメージを与える為、
がん細胞に多くのダメージを与えようとすると正常細胞もダメージを受けるという難点がありました。
その為、十分な量のレーザーをがん細胞に当てることが出来ず、
手術等に比べ選択されることが少ないのが現状になっています。
ケミカルサージェリーは薬剤とレーザーを反応させることで、
がん細胞のみにダメージを与えることを目的とした治療になります。
特定の光を当てると、光感作物質はエネルギーが高い状態となります(光反応)。
エネルギーを放出し、本来のエネルギーが低い状態に戻る際に、一重項酸素という活性酸素の一種が生成されます。
一重項酸素は、がん細胞を破壊しますが、正常細胞は、オキシダーゼという抗酸化酵素の働きで破壊されません。
また、光がん免疫療法で照射されるレーザー光は、光感作物質が集積した細胞のみに効果をもたらすので、光感作物質が集積していない細胞には障害が生じません。
従来のICGリポソームに比べ、10倍の高い抗腫瘍効果が得られます。
ICGのほかに研究所で作製した「リン脂質と結合させた特殊なタラポルフィン」をリポソーム膜に組み込んであります
(一般のものは組み込めない)。⇒ 高機能タラボルフィン
がん細胞は酸素・栄養を取り込み成長するために血管を新生させます。
この新生血管は不完全であり、血管内皮細胞の間に20nm程度以上の隙間が存在しますが、正常な細胞の周囲の隙間は
6~7nm程度であるため、数百nmのナノ粒子は正常な組織には取り込まれず、腫瘍の組織の中に蓄積します。
腫瘍ではリンパ組織も発達しておらず、組織中の異物を排除できずこれらのナノ粒子は腫瘍組織中に貯留します。
このことをEPR効果 と呼びます。
マクロファージは細菌などの外敵侵入に備える白血球の1種ですが、リポソームは体内異物とみなされてマクロファージが食べてしまいます。これでは、がんに辿り着くことができません。何とかして、マクロファージに見つからない工夫が必要となりました。
レーザー光により破壊されたがん細胞からは、細胞内の物質が細胞外へ放出されますが、
近接する免疫細胞がこれを目印(抗原)として認識して、本人のがん細胞に対する免疫機能が活性化することができます。
放射線治療の世界では局所治療であるはずの放射線治療を行ったとき稀に、別の場所にあるがん細胞が縮小するなどの報告があります。
これはアブスコパル効果と呼ばれ、機序となる免疫システムが報告されています。
一般的に「光がん免疫療法」は、米国立がん研究所の主任研究員である小林久隆先生が提唱し、 楽天メディカル社が研究開発にあたっている「近赤外線免疫療法」と、当院で行っている、ドイツや日本の大学での研究を基に確立された「光免疫療法」の総称として使用されています。
光免疫療法 | 20~30万円 / 回(税別) ※部位や内視鏡処置によって変動あり。 |
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