
光がん免疫療法
TREATMENTIR-783光免疫療法とは
よろずクリニックでは、がん治療における新たな選択肢として、IR-783リポソームを用いた光免疫療法を導入しています。この治療は、近赤外線 (NIR)によって活性化される特殊な光感受性色素「IR-783」を使用し、がん細胞を選択的に破壊することが期待されている治療法です。
当院では内視鏡を用いた消化管へのレーザー照射が可能であり、胃がんや大腸がんなどの消化器系腫瘍に対しても照射によるアプローチが可能とされています。
この技術を用いることで、従来の治療では到達困難だった消化管内部のがん細胞にも正確にアプローチし、周囲の健康な組織へのダメージを最小限に抑えながら治療を行うことができます。

IR-783光免疫療法の特長
がん細胞への選択的集積
IR-783はOATP(有機アニオントランスポーター)を介してがん細胞に特異的に取り込まれ、正常細胞への影響が少ないとされています。
光を当てなくても抗腫瘍効果
IR-783は近赤外線照射がなくてもがん細胞の代謝とミトコンドリア機能を障害し、自然免疫を活性化させる作用があるとされています。
深部への照射が可能な近赤外線対応
近赤外線(810nm)は体内深部まで到達するため、外科的切除が困難な部位への対応も期待されています。
内視鏡による消化管治療
内視鏡を用いたレーザー照射により、口腔がん、食道がん、胃がんや大腸がんなどの消化管がんへの対応も期待されています。
消化管内部の病変に直接アプローチできるため、低侵襲治療の選択肢として注目されています。
IR-783光免疫療法の優位性
がん幹細胞や転移の抑制
IR-783はがん幹細胞の代謝を阻害し、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)を抑制することで、再発や転移の抑制が期待されています。
免疫系の活性化による全身効果
治療により免疫原性細胞死を誘導し、CTL、NK、NKTなどの抗腫瘍免疫を活性化。その結果、局所のみならず全身のがん細胞に対しても作用が波及する可能性があります。
内視鏡による消化管治療

内視鏡システムと組み合わせることで消化管内部へのレーザー照射が可能となり、口腔がん、食道がん、胃がんや大腸がんなどの消化器系腫瘍にも治療を提供できます。この低侵襲アプローチにより、外科的介入が困難な部位にも到達可能です。
光免疫療法のデメリットは?
当院では超音波治療機と内視鏡を用いてそれらの弱点を克服できるように考慮していますがレーザーの届きにくい場所(深部腫瘍)などには効果が期待できないことがあります。
このような方におすすめです
- 抗がん剤や放射線で十分な効果が得られなかった方
- 外科手術が困難な部位にがんがある方
- QOLを維持しながらがん治療を受けたい方
- 内視鏡による消化管へのレーザー照射治療が適している方
IR-783光免疫療法の作用メカニズム
1.がん細胞への選択的集積
IR-783がOATPを介してがん細胞に特異的に取り込まれます。
2.近赤外線による活性化
810nmの近赤外線照射によりIR-783の活性化が期待されます。内視鏡を通じて消化管内部にも精密な照射が可能です。
3.がん細胞の破壊
活性化されたIR-783ががん細胞のミトコンドリア機能を障害します。
4.免疫系の活性化
免疫原性細胞死が誘導され、全身の抗腫瘍免疫の活性化が期待されます。
5.消化管がんへの適用
特殊な内視鏡システムにより、胃・大腸・食道などの消化管がんに対しても正確なレーザー照射治療が可能とされています。
安全性と照射方法について
当院ではIR-783をリポソーム化することで、がん組織への集積性を高め、副作用を最小限に抑える工夫がされています。 また、肝臓での代謝・解毒が可能な設計となっており、全身への影響も少ないとされています。
さらに、内視鏡を用いた消化管への直接的なレーザー照射が可能であり、深部の腫瘍への照射も可能とされています。
当院の照射機器について
当院では患者さん一人ひとりの状態に合わせて最適な照射機器を選択します。
すべての機器は高い安全性と精度に配慮して設計されています。
特殊内視鏡システム

810nmの近赤外線を精密に照射できる内視鏡用レーザーシステムです。 消化管深部のがんへの照射が可能とされています。出力も高く1W~15Wまで選択して使用します。
超音波式照射システム

深部のがんへ集積した光感受性物質の活性を高めるため治療用超音波機器も使用します。
スーパーライザーEX

この機械は波長600~1600mmの近赤外線パルスを出すことができ、最大で4~5cmの深部まで光を到達させることができます。 深部加温、血流増加によって免疫賦活も期待されます。
MLDS (マルチレーザーデリバリーシステム)

あらゆる波長を取り扱い可能で薬剤に最適な波長を選択照射することができます。また血管内に直接ファイバーを挿入しCTC(循環腫瘍細胞)の治療にも使えます。
光免疫療法とハイパーサーミアを併用するメリットとは

当院では前日の薬剤投与とともにハイパーサーミアを用いて薬剤の集積率の向上を目指しています。ハイパーサーミアにつきましては「がん温熱療法ハイパーサーミアについて」の記事も併せてご確認ください。
作用 | 説明 |
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血流増加 | 腫瘍局所の血流を一時的に増加させ、薬剤の集積効率を高める可能性があるとされています。 |
血管透過性亢進 | IR-783の腫瘍組織への浸透が促される可能性が示唆されています。 |
細胞膜の透過性上昇 | がん細胞表面へのIR783結合が高まる可能性があると報告されています。 |
光感受性増強 | 温熱により励起効率や細胞応答性の変化が期待されています。 |
費用について
IR-783を用いた光免疫療法 | 1回あたり:20~30万円 / 回(税別) ※治療部位や内視鏡処置の有無によって費用が変動する場合があります。詳細は医師にご相談ください。 |
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※本治療は保険適用外の自由診療です。
費用は全額自己負担となり、健康保険は適用されません。
自由診療における未承認医薬品の使用について
- 治療名:IR-783を用いた光免疫療法
- 承認状況:本治療に用いる「IR-783」は、日本国内で承認されていない未承認医薬品です。
- 入手経路:当院の医師が、厚生労働省の定める手続きに基づき、海外の製造元から個人輸入しています。
- 国内承認品の有無:同一成分または同等性能の国内承認医薬品はありません。
- 安全性情報(海外):海外での報告において、発熱、光線過敏症、吐き気、倦怠感、アレルギー反応、まれに腫瘍崩壊症候群などの副作用が確認されています。
- 主な副作用リスク:個人差がありますが、光線過敏症、アレルギー反応、発熱、倦怠感、吐き気、腫瘍崩壊症候群(まれ)などが起こる可能性があります。
まとめ
IR-783光免疫療法は、がん細胞を選択的に攻撃しながら免疫を高める新しい治療選択肢として注目されています。
特に当院では内視鏡を用いた消化管へのレーザー照射が可能で、消化器系のがんに対しても正確で低侵襲な照射治療の提供が可能とされています。
当院では最新の臨床知見に基づき、安全性や有効性に配慮した治療をご案内しております。
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