プレMAF療法

治療のイメージ

マクロファージ活性化による自身の自然免疫機能を向上させる事、酸素・営巣の供給血管新生を阻害する事、この点でがん細胞の増殖を抑制できるのではないかと考えられる

免疫が正常に機能しているときは・・・

糖タンパク質「プレMAF」が、体内で2段階の反応経てマクロファージを活性化します。マクロファージは、他の免疫細胞と連携して体内に侵入した異物を排除します。

免疫がうまく働かなくなると・・・

しかし、癌細胞や他のさまざまな要因で、体内での1段階目の反応が上手く進行しない場合があることがわかっています。その結果、免疫系で重要な役割を担っているマクロファージが不活性の状態になってしまい、免疫力が低下してしまいます。

精製されたプレMAFを投与

免疫抑制状態でも、マクロファージを活性化
糖タンパク質「プレMAF」が、体内で2段階の反応経てマクロファージを活性化します。マクロファージは、他の免疫細胞と連携して体内に侵入した異物を排除します。

プレMAF療法の4つの特徴

①免疫機能の向上

免疫とは身体を異物から守る為に様々な細胞が働くシステムのことです。中でも重要な役割を担っている細胞の一つにマクロファージがあります。 マクロファージは、自らも非常に強い貧食(直接食べてしまう)作用を持ち、貧食した異物の特徴を他の免疫系細胞に示すことで連携して異物を排除することがわかっています。 がんを患うと本来の免疫機能が低下してしまいますが、プレMAF療法では、糖タンパク質(前駆体)「プレMAF」を投与することでマクロファージを活発にし、免疫力を上げることを目指します。

②副作用が少ない

患者様自身の血清を使用し製造を行うオーダーメイド型のため、副作用が少なく、患者様の身体的負担を最小限にしながら治療に臨めます。

③他の治療法との併用が可能

すべての患者様が治療の対象となることが可能です。 体内で生成される成分を使用するため、他の治療法の妨げになることは考えにくく、併用が可能です。

④他の免疫療法に比べて安価

他の治療法との併用もしやすいように、治療に必要な金額を下げる創意工夫をして患者様の経済的な負担を少なくしています。

GcMAFの働き

  • マクロファージ活性化1)
  • 破骨細胞の活性化2)
  • 光線力学療法(photodynamic therapy, PDT) でのアジュバント効果 3 )
  • 血管新生阻害活性4), 7)
  • アポトーシスの誘導 5 )
  • 腫瘍細胞から正常細胞への形態変化 6 )
  • CAMPシグナルを介したヒト神経代謝活性の改善 7 )
  • カドミウムに対する抗毒作用 8 )
  • スーパーオキシド産生の増加 1 )
  • 末梢血単核球の増殖 7 )
  • 抗腫瘍活性 9 )
  • 培養中のヒトがん細胞の転移能抑制 10 )

1) 出典:Mohamad SB, Nagasawa H, Uto Y, Hori H. Preparation of Gc protein-derived macrophage activating factor (GCMAF) and its structural characterization and biological activities. Anticancer Res. 2002 Nov-Dec;22(6C):4297-300.

2) 出典: Swamy N, Ghosh S, Schneider GB, Ray R. Baculovirus-expressed vitamin D-binding protein-macrophage activating factor (DBP-maf) activates osteoclasts and binding of 25-hydroxyvitamin D(3) does not influence this activity. J Cell Biochem. 2001;81(3):535-46.

3) 出典: Korbelik M, Naraparaju VR, Yamamoto N. Macrophage-directed immunotherapy as adjuvant to photodynamic therapy of cancer. Br J Cancer.1997;75(2):202-7.

4) 出典:Kisker O, Onizuka S, Becker CM, Fannon M, Flynn E, D’Amato R, Zetter B, Folkman J, Ray R, Swamy N, Pirie-Shepherd S. Vitamin D binding protein-macrophage activating factor (DBP-maf) inhibits angiogenesis and tumor growth in mice. Neoplasia. 2003 Jan-Feb;5(1):32-40.

5) 出典:Thyer L, Ward E, Smith R, Fiore MG, Magherini S, Branca JJ, Morucci G, Gulisano M, Ruggiero M, Pacini S. A novel role for a major component of the vitamin D axis: vitamin D binding protein-derived macrophage activating factor induces human breast cancer cell apoptosis through stimulation of macrophages. Nutrients. 2013 Jul 8;5(7):2577-89.

6) 出典:Pacini S, Punzi T, Morucci G, Gulisano M, Ruggiero M. Effects of vitamin D-binding protein-derived macrophage-activating factor on human breast cancer cells. Anticancer Res. 2012 Jan;32(1):45-52.

7) 出典:Pacini S, Morucci G, Punzi T, Gulisano M, Ruggiero M. Gc protein-derived macrophage-activating factor (GCMAF) stimulates CAMP formation in human mononuclear cells and inhibits angiogenesis in chick embryo chorionallantoic membrane assay. Cancer Immunol Immunother. 2011 Apr;60(4):479-85.

8) 出典:Massimo G, Punzi T, Morucci G, Ruggiero M. Effects of Cadmium and vitamin D binding protein-derived macrophage activating factor (DBP-MAF) in human breast cancer cells. Italian Journal of Anatomy and Embryology, vol.116, n.1 Supplement, 91, 2011.

9) 出典:Nonaka K, Onizuka S, Ishibashi H, Uto Y, Hori H, Nakayama T, Matsuura N, Kanematsu T, Fujioka H. Vitamin D binding protein-macrophage activating factor inhibits HCC in SCID mice. J Surg Res. 2012 Jan;172(1):116-22.

10) 出典:Gregory KJ, Zhao B, Bielenberg DR, Dridi S, Wu J, Jiang W, Huang B, Pirie-Shepherd S, Fannon M. Vitamin D binding protein-macrophage activating factor directly inhibits proliferation, migration, and uPAR expression of prostate cancer cells. PLoS One. 2010 Oct 18;5(10):e13428.

ヒトPBMC付着細胞分画の貪食能評価 (東京慈恵会医科大学との共同研究結果)

試験方法
健常成人ボランティアよりヘパリン採血で末梢血を約20ml採取した。 Ficoll density gradient centrifugation法を用いてPBMCを採取し、 無血清RPMI-1640培地に細胞を浮遊さ せ10cm Petri Dishに植え込んだ。 プレMAF (PBMCの由来した同一健常ボランティアのGcよ り作製)、または、コントロールのPBSをPBMC培養の培地に添加し4時間培養した。 その 後、温PBSで細胞を洗浄し、 浮遊細胞と培地を除いた。
培養した付着細胞分画の貪食能をPhagocytosis Assay Kit (IgG FITC, Cayman) を用いて、 IgGでcoatingされた蛍光ビーズを付着細胞に加え90分間培養した。洗浄後、蛍光顕微鏡によ りランダムに10視野を撮影した。 蛍光顕微鏡写真をWinROOFを用いて解析し、写真に占め る蛍光の面積絶対値を求めマクロファージの貪食能として評価した。

試験結果

ヒトPBMC付着細胞分画はプレMAF処理により明らかな貪食能の増加が認められ、 10ng/mlのプレMAFで最も強い貪食能の増加が認められた。

マウス肺がんに対する抗腫瘍評価試験 (東京理科大学との共同研究結果)

試験方法
Lewis Lung Carcinoma (LLC) 細胞は、 100mmプラスチックシャーレにおいて、10%ウシ 胎児血清含有Dulbecco’s Modified Eagle Mediumにより37°C、 5% CO2 のもと培養した. 培 養上清を除き、LLC細胞を4°CのPhosphate Buffered Saline (PBS) に懸濁させ、4°Cのもと 200×gで5分間遠心し、さらに上清を除いた. 沈殿したLLC細胞を4°CのPBSに懸濁させ、 2×105 cellsのLLC細胞を1群4匹から成る6週齢のC57BL/6マウス (雄)の尾静脈内から注射 した.
注射7日後から400ng/kgのプレMAFを、腹腔内投与 (i.p.)、 皮下注射(s.c.)、筋肉注射 (i.m.)にて10日間連続投与した. 最終投与翌日にマウスを屠殺し、 肺を実態顕微鏡により 撮影の上、 肺に形成された腫瘍結節数を計測した.

試験結果

プレMAFはどの投与経路においても、 肺に出来た腫瘍数が著しく減少している事が分かります。 つまり、 プレMAFには抗腫瘍効果がある事を示している。

マウス腹腔マクロファージを用いた貪食活性経時変化評価試験 (徳島大学との共同研究結果)

試験方法
ICRマウス (♀ 8 weeks) を頸椎脱臼し、マウス腹腔マクロファージを回収した. 回収 後、Burker-Turk型血球計算版にて1.0×106cells/mLに調整した.
24穴プレートに滅菌したカバーガラスを入れ、 採取 調整した腹腔内細胞液を5.0×105 cells/well分注の上、 カバーガラスにマクロファージを定着 (37°C・1h)させた. 定着後、 腹腔内細胞液をエッペンチューブに回収し、サンプル(プレMAF)及び比較としてRPMI培 地(control)を加え、反応させた (37°C・1h). 定着させたカバーガラスは、 RPMI培地 にて洗浄の上、 インキュベート (37°C・15h) を行った.
インキュベート後、 腹腔液処理サンプルをそれぞれ添加し、マクロファージを刺激 (37°C・ 3h)し、0.5%オプソニン化SRBCを加え、 貪食させた (37°C・1.5h) 貪食後、 洗浄の 上、ギムザ染色し、 顕微鏡にて検鏡を行った.

試験結果

プレMAFは冷蔵保管3ヶ月でもマ クロファージを活性化することが 示唆された。

抗体製剤との併用効果評価試験 (東京慈恵会医科大学との共同研究結果)

試験方法
ヌードマウスの背部皮下に106/mouseのOE19細胞を移植した。
マウスを4群に分け、無処 置群、プレMAF, トラスツズマブ単独、または併用投与群とした。プレMAFは10ng/mouse を移植後5日目より10日間連続で皮下注射した。
トラスツズマブは25μg/mouseを移植後5日 目より3日間間隔で計4回腹腔内に投与した。 腫瘍細胞を移植後、 週1回の頻度で腫瘍径を垂 直に交わる2方向からキャリパーを用いて計測し、その数字を乗じたものを腫瘍サイズ (mm2)として表した。

試験結果

抗体製剤(トラスツズマブ) 単独群より、 プレMAFとの併用群の方が腫瘍サイズが著しく小さくなっている事が分かります。
つまり、プレMAFには抗体製剤との併用による抗腫瘍効果がある事を示している。
トラスツズマブとはHER2蛋白に特異的に結合する事で抗腫瘍効果を発揮する分子標的治療薬の一種。
HER2に特異的に結合した後、 NK細胞、 単球を作用細胞とした抗体依存性細胞傷害作用 (ADCC)により 抗腫瘍効果を発揮する。

血管新生阻害活性評価試験 (ジーン・ステム(株)への委託結果)

試験方法
48 well plate Matrigelを200μL/wellコーティングし、 HUVECを1万細胞/ 200μL/wellにて 培養した。 培養にはHuMedia-EB2にFCSを1%濃度で加えたMediumを用いた.
Medium にはrecombinant human VEGF165(hVEGF165)を10ng/mlの最終濃度になるよ うに添加し、加えて試験物質を添加した (下記表を参照) 培養開始から12~16時間後に 写真を撮影し、 形成されたtubeの長さ、 分岐点を定量化した. 測定結果はOMS社の統計解 析ソフト「Statcel2」 を用いて、 全ての群間の比較を一元配置分散分析法(ANOVA)と Tukey-Kramer法により有意差があるかどうかを検定した.

試験結果

プレMAF投与により、 血管新生が 抑制されている事が分かります。 つまり、プレMAFにはがん細胞に 酸素・栄養素を供給する経路とな る血管の増殖が抑えられている事 を示している。

血管新生とは?
がん細胞は、自身が成長する為に必要な酸素や栄養を得る為に、 新しい血管を形成しようと 働く。この、新しい血管が形成されることを「血管新生」 と呼ばれている。
この新生された血管は、がん細胞への酸素や栄養の供給を行うだけでなく、 がん転移の経路 も果たしているとも考えれらている。

VEGFとは
血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor) の略。
血管新生に関与する一群の糖タンパク質であり、 VEGFの過剰発現は腫瘍の血管増生や転移 と関連している事が報告されている。
マクロファージ活性化による自身の自然免疫機能を向上させる事、 酸素・ 栄養の供給血管新 生を阻害する事、 この2点でがん細胞の増殖等を抑制できるのではないかと考えられる。

マウス腹腔マクロファージを用いた 貪食活性評価試験 (徳島大学との共同研究結果)

試験方法
ICRマウス (♀、 8 weeks) を頸椎脱臼し、マウス腹腔マクロファージを回収した. 回収 後、Burker-Turk型血球計算版にて1.0 × 10° cells/mLに調整した.
24穴プレートに滅菌したカバーガラスを入れ、 採取 調整した腹腔内細胞液を5.0×105cells/well分注の上、カバーガラスにマクロファージを定着 (37°C・1h)させた. 定着後、 腹腔内細胞液をエッペンチューブに回収し、 サンプル (Gc globulin, プレMAF) 及び比較と してRPMI培地(control) を加え、 反応させた(37°C・1h). 定着させたカバーガラス は、RPMI培地にて洗浄の上、 インキュベート (37°C・15h) を行った.
インキュベート後、 腹腔液処理サンプルをそれぞれ添加し、マクロファージを刺激(37°C・ 3h)し、0.5%オプソニン化SRBCを加え、 貪食させた (37°C・1.5h) 貪食後、 洗浄の 上、 ギムザ染色し、 顕微鏡にて検鏡を行った.

試験結果

プレMAFの投与により、免疫細胞の1つであ るマクロファージが活性化させる事、 Gc globulinだと活性化されない事を示している。
Gc globulinからプレMAFへの変換は必要で あることが示唆された。

毒性評価試験(株)DIMS医科学研究所への委託結果)

試験方法
6週齢 Crl:CD (SD)系ラットを体重層別法により、 雌雄ともに6匹/群×3群に群分け。群分け 後、プレMAFを週1回、13週間間歇皮下投与し、 間歇皮下投与による毒性影響を検討した。

雌雄ともに、プレMAF (4,000ng/kg/day) を13週間連続にて投与したマウスの死亡は認め られず、異常は認められなかった。
これは、プレMAFの無毒性量(NOAEL)は、4,000 ng/kg/day (240μg/60kg/day)以上で ある事を示している。

治療の流れ

プレMAF療法は、皮下投与 (投与量:0.5cc) を1週間毎に実施し、10回投与を 1クールとしています。 採血・血清分取から投与終了までの約3.5ヶ月の治療と なります。

2つの特許を用いたプレMAFの調製法

プレMAF療法は、 モリタのオリジナルな免疫療法です。
採血を行い、遠心分離の上、 血清を分取。得られた採血者本人の血清に酵素を反応させ、 Gc globulinのガラクトース を切断。酵素処理後、 弊社で合成した特異的吸着樹脂 *1を用いてプレMAFを精製 *2します。

「血清」では、他のタンパク質の 種類・量が多い為、 目的物質であ るプレMAFのバンドは確認できな い。
しかし、 特許技術を用い、 特異的 に精製すると、 プレMAFの純度が 上がり、バンドが確認できる。